家全体が呼吸するって?
高断熱化することによって、快適で省エネな生活を実現する。
高断熱ということ と高気密ということ
この2つは切っても切り離せない、というのが今でも業界の常識です。
でも、やっぱりビニルハウスみたいになってしまうのはイヤだ!
という想いから、私たちは理想となる答えを探していました。
そしてたどり着いたのがこれ
■高断熱・高調湿の家
「なんで息吹木の家なの?」の項でお話ししたとおり、内壁のところで湿気をシャットアウトしないと結露を起こし
その結露水が家を傷めてしまいます。
でも、どうでしょう?
たとえ結露を起こしたとしても、それを調湿でき、それを無いものとできたら・・・
そんな考え方を呼び起こさせてくれたのは、ある断熱材との出会いでした。
それが今弊社で使っている“羊毛断熱材ウールブレス”
そんな素晴らしい断熱材 ウールブレスってどんな物なのでしょう?
それを語る前に、今一番使われている断熱材について考えてみたいと思います。
それを知ることで、よりウールブレスが理解できると思いますから。
▼今、一番使われている断熱材
これがグラスウール。 細い糸をつむいで布団状にしています。さわるととても痒い。 | これもGW。高性能なものは色が違ったりします。光でてかって見えるのがベーパーバリア(ナイロン) |
これが一番GWとして一般的な姿 あらかじめ、ナイロンの袋に入っています。バリアとしては×ですけど。 |
今の住宅で一番使われている断熱材
それはグラスウールと呼ばれているもの。次いでロックウール
これらの断熱材、実はそれぞれガラス、鉱物の廃材を極細の糸にして、それを綿状にしたもの。
故に繊維系断熱材と呼ばれています。
特徴としては、
・価格が安い割に断熱性能がいい
・繊維状なので、形状に合わせて入れやすい、
反面、断熱欠損も起こしやすい
・水に弱く、いったん濡れると元に戻りにくい
・そういった特徴から、必ず防湿層(ベーパーバリア)が必要
そう、これが日本で今、一番使われている断熱材。
理由は
低性能なもの(一般的なもの)は価格が安く、専門職でなくても入れることができること。
また、布団のようにふわふわなので、適当に(いいかげんに)入れることができること。
問題点は
湿気に弱く、結露水を逃がすことができないこと。
▼調湿性能が優れた断熱材
そんな断熱材ですから、私たちの目指す息吹木にはほど遠いものでした。
そんなとき、出会ったのが羊毛断熱材、ウールブレスだったんです。
でも、良いものはやっぱり値段が高い!実にGWの7倍近く(10Kと比較)
壁を仕上げてしまえば全く見えなくなってしまう断熱材
そんな断熱材にそこまでお金を掛ける価値があるんだろうか???
そんな悩みを解消してくれたのが、ウールブレス販売元の社長さんのお言葉
「志水さん、知ってますか? 羊にはダニがつかないってこと。 実はダニってやつは湿気が大好きで湿度が65%以上になると快適な生育環境になるらしんんです。
ところが羊には寄りつかない。
それはね、羊の毛に“調湿能力”があって、湿度を50~60%くらいに調整しているからなんですよ。
そんな素晴らしい特性を持つウールを家の、壁の中に使うって素晴らしいことだと思いませんか!?」
まさに“目からウロコが落ちる”思いでした。
これがウールブレスの特徴。
優れた断熱性能に加え、何といっても素晴らしいのは調湿性能に優れること
↓
内部結露とも無縁
↑
国もそれを認めて、ベーパーバリアは必要ない、というお墨付き(国土交通省 防露認定877))
息吹木の家に理想の断熱材が見つかりました。
▼部材を組み合わせて使い,性能を100%活かす
次になすべきは、その性能をいかんなく発揮させるための工夫。
それが右の図です。
ベーパーバリアがありませんから、湿気は壁の中へ侵入します。
↓
しかし、ウールブレスが調湿してくれるので、そのほとんどが影響を与えません。
↓
それでも、残った水分は、湿気を通しやすい外壁を通って外へ逃がします。
↓
外には通気層が設けてあり、その流れに乗って湿気はなくなります。
そう、家をつくるとき、ウールブレスの性能に頼りすぎると、オーバーフローしたときにどうしようもなくなってしまいます。
そこで
外壁(耐力面材)を透湿抵抗の低い(湿気を通しやすい)ものをセレクト。
湿気を逃がすための道(空気層)を設けることで、湿気を逃がしてしまう、というわけです。
このことは、決してこちら側の勝手な論理ではなく
上図のような「結露判定プログラム」をも使って
検証した結果です。
グラフの見方~青い線が赤い線を下回っていれば結露状態
結露をしていないことがわかります。
さらに
このグラフは、結露の非定常計算といって、先ほどの定常計算よりもさらに踏み込んだ状態での計算です。
そこでも内部結露は起こしていない、ということが見てとれました。
■さらなる調湿性能を求めて
そしてさらなる調湿性能を求めて
構造材 ~ もちろん無垢の木材、
内装材 ~ 床、敷居、鴨居・・・・全て無垢材
壁仕上げ材 ~珪藻土をはじめとして調湿性能のある材料
といったように
家全体を「呼吸する素材」 「調湿できる材料」で仕上げています。
中でも珪藻土は
その性能面から2つの珪藻土にこだわっています。
一つは エコクイーン
もう一つは 湯布珪藻土
どちらの珪藻土も調湿性能に優れたもので、空気感が全く違います。
▼ちょっとだけ珪藻土の話
珪藻土の詳しい話や内容は、上のリンクからそれぞれのHPに飛んで頂ければ良いのですが
弊社がなぜ、上の2つにこだわっているのか、ちょっとだけお話します。
■珪藻土はどれも同じ??
右の写真は、珪藻土を電子顕微鏡で見たものです。
よーく見てみてください。
表面に小さな穴がいっぱい空いているのが分かりますよね。
これが、「多孔質」と呼ばれている物です。
この無数の穴が、実は湿気を吐いたり吸ったりしてくれているんです。
でも、
せっかくの穴を塞いでしまう、恐ろしい物があるんです。
それが科学糊、いわゆるボンドってやつ。
ボンドを混ぜた珪藻土を使うと・・・・・・
見た目は全く変わらないんですけど、肝心の調湿性能がさっぱり・・・・
そう、ここで言いたいのが
珪藻土には、大きく分けて2種類のものがある、ということ
・一つ目は、科学糊を使わず、海草などの自然の糊、もしくは、製法によって固めるもの
・2つ目は、科学糊をバンバン入れてつくられたもの
■なんでそうなるの??
ここまで読まれて、不思議に思う方もいらっしゃるはず。
「そんな悪いと分かっている科学糊なら使わなきゃあいい!」と
そうなんです。
お客様の健康とか、珪藻土の純粋な機能とか考えると使ってはいけないもののはず
でも、
科学糊を使うメリットは確かにあるんです。
それは、お客様のためではなく、業者のために。
珪藻土ってやつは、普通に砕いて生成し直すと、自分で固まる能力がない。
↓
それを固めるためには、何らかの物がいる
↓
海草糊などの弱い糊を使うと、固める能力が弱い ← でも穴をつぶさないから調湿能力抜群
↓
壁が割れるリスクが多くなる
↓
そんなことをしたらクレームが来るかもしれない
↓
お客様の健康より、クレームが来ない方がいい
↓
じゃあ、強力ボンド入りの壁を使って壁を塗ろう、珪藻土には間違いがないのだから。
住宅業界は、またの名をクレーム産業と呼ばれています。
だから、クレームをおそれるあまり、世の中の珪藻土の9割以上は上記のようなボンドで固めた
残念ながら「お客様のためでなく、業者の安泰のための」珪藻土になってます。
名前に惑わされず、良いものを選ぶ
これも、家づくりにとって非常にたいせつなことだと思います。