住まいの燃費
最近車業界では、プリウスの登場、円安によるガソリン価格の高騰から、低燃費車でなければ車でない
と言われるほど燃費競争が過熱しています。
ところでわが業界はどうでしょう??
家を建てるのはいいんですが、
その家がどれくらいの能力があって、いくら光熱費がかかるのか?
分かって建てる人は一人もいなかったと思います。
地球温暖化が叫ばれる中
産業界は、その効率化を徹底的に進めることで、世界最高レベルの省エネ性を手に入れています。
あと、残るは・・・・そう民間の住宅なんです。
だから、これからの住宅は、光熱費がどれくらいかかるのか?
車と同じようにきちんと知って、選んで購入する必要があると思います。
それらのことを語るために、まずは断熱のお話からさせていただきます。
■断熱について
最近の家は、昔と違って断熱をしっかりしているから、夏涼しくて、冬暖かい
なんてことを良く耳にします。
じゃあ、その断熱ってどんなものなの??
って聞くと
「うちの家は、Q値がいくらで、μ値がいくらで・・・・」
なんてことを言われて、益々訳が分からなくなってしまう
なんて経験、ありませんか??
そうなんですね、
実はわたしも、そんなこと言ってしまうんです・・・・・(汗)
皆さんが知りたいのはそんなことじゃあないのにね。
そこで、このこうも大幅にリニューアルして、皆さんが知りたいこと書いてみます。
■断熱をすると、どんなふうにすごせるの??
▼冬のお話
ある冬の寒い日、OBのお宅を訪問しました。
そのお宅には、蓄熱式暖房機と言うものが置いてあって、冬の間はずっとそれで暖房しています。
蓄熱式暖房機~夜間電力を利用して、内蔵しているレンガを暖め、その熱を日中放出。断熱性能がある一定以上ならば「日だまりのような」暖かさが得られる。
そのお宅が建っているのは、新しい住宅地で周りも新築住宅ばっかり。
ある日、向かいの奥様がやってきてびっくりしたそうです。
「この家はなんでこんなに暖かいの!?しかも全部屋が暖かいなんて!!」
話を聞くと、OBのお宅よりずっと大きな家を建てたその方。
当然リビングも、和室も大きなものだそうです。
そのせいか・・・・寒い!!
暖房して暖めようにも、なかなか暖まらない。
無理にしっかり暖めようとすれば、相当の灯油(ここの場合)が必要だとか。
だから、普段は、リビングに隣接した和室にコタツを出して暖まっているそうです。
そうしていると、「あと10分したらでて用事をしよう。」 「あともう30分・・・・」
結果、何も出来ずに過ごすことが多いとか......
では、何故OB宅とそんなにちがうのでしょう
OBのお宅は、断熱をしっかりして(ちなみに訳の分からない断熱の値は、Q値1.9くらい)いるおかげで
蓄熱式暖房機を冬の間ずっとつけっぱなしで、電気代1.5万円~1.7万円ほど
普段、春や、秋の電気代が4千円~6千円、ということから考えると、暖房費が1万円くらい。
この家はオール電化住宅なので、光熱費はこれで全て。
結構安いでしょ!!
しかもお隣の例のごとく、我慢して辛抱して・・・・・なんてことは一切ありません。
ちなみに
この家の温度データーを取ったのですが、毎日ずっと20℃
ばからしいくらい一定でした。
ただ、そのデータ、探したのですが、破棄してしまってました。
温度が同じであんまり面白くない、とおもってしまって・・・・・(大汗)
申しわけありませんm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m
いかがでしょうか?
面白い話なのでずっとこのままにしていますが
この家、もう10年くらい前のもの
今弊社で建てている家はこれよりさらに高性能なものです。
▼夏のお話
高断熱、高気密住宅は、夏涼しく、冬暖かい、っていいます。
冬は上記のごとく、ある程度断熱すれば、程度の差こそあれ、簡単に暖かくなります。
では夏は???
ちまたでは、高断熱住宅は「夏は暑い!!」
って聞きます。
ホントでしょうか??
これは、一般的に高断熱住宅と呼ばれる家の、夏のある1日の温度変化を表したものです。
赤が外気温、青が室温 縦軸が温度、横軸が時間です。
昼くらいまでは、外気温より低いのですが、それを過ぎると・・・
あらあら、外気温を追い越して暑くなってしまいました。
しかもその後ずっと外気温より高いまんま。
何故でしょう??
高断熱住宅は、ある程度までは、その温度に抵抗するのですが、いったんその熱に負けて入ってくると
今度は、その保温効果(冬暖かいのと同じ)で、暖かさをキープしてしまい、外気温が低くなっても
部屋の温度が下がらないという状況を作ってしまいます。
そんな時、営業マンはきっとこういうはずです。
「ある程度温度が上がるのはしょうがないことです。でも、断熱性能が高いのでエアコンで冷やせば、普通の家と違ってあっという間に冷えますよ。」
これももちろん間違いではないのですが・・・・
ではこれはどうでしょうか??
このグラフは、昨年2013年に引っ越しした我が家のものです。
日付は2013年 8月12日~13日、エアコンは使っていません。
縦軸が温度、横軸が時間、この場合は2日間ですね。 赤色が外気温、青色が室内温度です。
我が家の場合、上に書いたようなことは分かっていたので、夏をいかに涼しく過ごせるかが命題でした。
上のグラフと全く違うのは見てのとおり。
温度が35℃を超えても、室温は30℃を少しだけ上回っている程度。
その後も室内温度の上昇はなく、夜11時くらいに、やっと外気温との逆転が起こっています。
これは
断熱性能を高めたことも、もちろんありますが、後は風のながれを考え、家の軒の出の長さを考え
遮熱を考えなどする“パッシブ技術”を盛り込んでいるからに他なりません。
ですから、夏の間この家でエアコンを回したのは、わずか3時間程度
お客様がいらっしゃって時だけでした。
後は、扇風機を回していたら涼しく過ごせましたし、2階の部屋で寝るときも、もちろんエアコンなしで過ごしました。
どうですか??
断熱をしっかりする意味、少しは分かってくださいましたか??
■家の燃費
ここまでは体験もふまえた話で、納得したもらえてのではないか、と思っております。
冒頭で申し上げた、Q値だのμ値だの、本当にこういった体験の前ではかすんで見えてしまいます。
しかし
私たちは、プロとして 「何となく作ったらこうなった」みたいなことは許されません。
きちんと計画して、計算して、目標をたてて、所定の性能を出さなければならないのです。
それが冒頭に申し上げた家の燃費に直結するからです。
きちんと性能値を把握することで、こんなことができます。
▼エアコンの能力算定
☆クリックすると大きくなります。
性能値をきちんと把握して、それを利用してエアコンなど暖冷房機を購入するとき
役立ちます。
普通エアコンを購入しに家電やに行くと
「何畳くらいの部屋ですか??」と聞かれます。
例えば、16畳だというと、必ずそれ以上のエアコンを勧められます。 必ず!
エアコンというのは、大きくなるとお値段は高いし
断熱性能が高い家では、必ずオーバースペックになります。
今までの常識では、オーバースペックで余裕がある方が絶対にいいし、何より省エネになるという神話がありました。
ところが
エアコンというものは、小さいやつの方が能力が高いし、何より省エネになる
と言うことが今や常識となっています。
ちょっと例を出すと
例えばクラウンのハイブリッド車と、1300ccくらいの普通の乗用車
同じ条件で走ったとしてどちらが燃費が良いでしょうか??
確かにクラウンはハイテクで、余裕もあるかもしれませんが、圧倒的に1300の方ですよね。
それと同じ理屈がエアコンにも当てはまります。
だからといって、何でもかんでも一番小さいのがいい、という理屈でもありません。
そこで
その家の、その部屋の暖冷房能力を、家の性能値を元に算出します。
そうすると、家電やさんが勧めるものよりも、必ず小さいもので済みます。
そうすることで、その時のイニシャルコスト、これから使い続けるランニングコスト
とも安く済むのは言うまでもありません。
▼年間かかるお金の算出
エアコンだけじゃ、よくわからない という皆様
断熱性能、その他の機器の選定をすることで、年間の光熱費をも算定することができます。
これがまさしく家の燃費。
ある実際の家の計画と、平成28年度基準(次世代省エネ基準)の家との比較です。
比較する方も、次世代省エネというくらいですから、結構いいレベルの家ではありますが
比べてみるとこの通り
年間で10万円ほどの開きがあります。
実際の燃費と比べてみると
この予想より大方少なめに暮らせているというのが実際
マックスと考えたほうが良さそうです。
もう一つのシミュレーションがこれ。
太陽光発電はなし。家電は盛り込まず、冷暖房費のみでの計算です。
これで、「断熱なんか適当でいい」という考えで作った同じ家での比較をしてみます。
これで計算してみると
そんな家との差額が年間で7万円くらい、と言う結果。
実際に家を建てるシーンを思い浮かべたとき、ローンの他に必ずいるのが光熱費
年間7万円違うと、10年で70万、ローン完済の35年でいうと245万円
しかも
この光熱費はそのあともずっとついて回る、ということですね。
▼新築だけじゃない!!
そんなこと言ったって新築の話、わたしらには関係ない
と言われる方もご安心下さい。
ちゃんとあるんです。
これは1985シミュレータというソフト。
こいつを使うと
・この窓に障子をつけたら、年間いくら暖房費が安くなるか
・このエリアだけをこれだけ断熱したら、どれだけ暖かくなるか
・どこがどれだけの割合で燃費が悪いのか知ることで、要改善点がわかる
など、「省エネ性」と「快適性」と「経済性」が一気に、簡単に分かってしまいます。
このように、これからの時代は
その家が、スタイルがいい、とか使い勝手がいいとかだけでなく、燃費がどれくらいか
考えて建てる時代になっています。
このことは、こうやって小さな工務店でもきちんと計算できます。
賢い消費者になって家を選んでください。
こんな私たちは、1985運動に賛同し、自らも“地域アドバイザー拠点”となり、
家庭の省エネから日本を変えようという趣旨の元頑張っています。
詳しくは下記でご案内しております。